障がいを持ちながら毎日の暮らしを送っているけれど、収入が安定しなくて、これからの生活が不安……。
と感じることはありませんか?
障がいを抱えて暮らしている方にとって、どうしても避けては通れないのが「お金の問題」です。
本人の意思に関わらず、一般的な就労ができなくなってしまい、収入面で不安定になったり、「これからどうやって暮らしていけばいいのだろう?」と悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。
もし、「働くことが困難になっている理由」がご自身の「障がい」であるならば、一度、検討してみて欲しいのが「障害年金」の申請です。
「障害年金」は昭和61年(1986年)から続いている国の社会保障の制度(国民年金・厚生年金)で、支給の条件を満たす障がいがあると認定を受けると、「障害基礎年金・障害厚生年金」を受け取ることができます。
障がい者の方にとっては、毎日の暮らしを支える生活基盤となる制度です。
とくに「就労A型・B型」などの「作業所」に通われている方や、「障がい者グループホーム」への入居希望の方に、活用をおすすめします。
今回は、これから「障害年金」の受給を検討する方に向けて、よく悩まれがちな疑問をQ&A形式で分かりやすくまとめました。
主に「精神障がいの方の事例」を想定して取り上げますので、申請の際に参考にしてみてください。
Q1 「障害年金」とは、どのような制度ですか?
A1 「障害年金」は、障がいや病気のために日常生活や労働に制限がある、と認定された場合に支給される国の年金制度です。
「障害年金」は、「国民年金制度」の一部で、主に病気やけがなどにより、日常生活に困難がある方を対象とした年金です。
障がいがあると診断されると自動的に受け取れる、という制度ではなく、当事者が自ら年金事務所(国)に申請する必要があります。
障害年金については気になっているけれど、「申請のハードルが高い」「どのように手続きをすればいいのか分からない」と感じている方も少なくありません。
「障害年金」は、年金事務所から提出を求められる書類が多数あり、手続きが煩雑で、分かりにくいイメージをお持ちかもしれません。
しかし、「障害基礎年金二級」の支給は「年額79万5000円(令和5年の支給額)」と、十分に手間を掛けるだけの価値はあります。
まだ申請が済んでいない方は、少しずつ情報を集めることからはじめてみましょう。
「障害年金」を専門に扱う社労士に依頼するという方法もありますが、時間を掛ければご自身でも手続きを進めることができます。
社労士への依頼は、謝礼が高額になりやすいので、最後の手段にとっておき、まずは自分でできるところまでやってみるのがおすすめです。
書店へ行くと「障害年金」についてまとめた本が売られていますので、参考書として最新のものを手に入れるとよいでしょう。
申請にあたっては、書き方に重要なポイントがあります。
初めて申請する場合は、できればお一人で書くのではなく、「障がい年金申請」に関する知識があるケースワーカーの方と一緒に進めるのが一番いい方法です。
とくに精神障がいの場合は、普段通っている精神科やメンタルクリニックにケースワーカーが常駐している場合があります。
医院の受付や担当の精神科医に、ケースワーカーの方を紹介してもらえないか、一度尋ねてみましょう。
Q2 「障害年金」の申請書類はどこで貰えるの?
A2 お住まいの「市町村の役所」、もしくは「年金事務所」、「街角の年金相談センター」で、申請書類を受け取ることができます。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の二種類があります。
「障害基礎年金」は「初診日」に勤めている会社で社会保険に入ってない場合(国民年金のみの場合)に申請するもので、「障害厚生年金」は、社会保険へ加入されていた方が対象となります。
障害年金は、その障がいが発生したと認められる日(初診日)に加入していた保険によって、「障害基礎年金」か「障害厚生年金」かが決まります。
そのため、この「初診日」に加入していた保険が重要になります。
基本的に「障害基礎年金」の窓口は市町村の役所が対応先となり、「障害厚生年金」の窓口は年金事務所となります。
どちらか分からない場合は、どちらへ行っても申請書類と案内を受けることができるので、まずは市町村の役所か、年金事務所へ行って相談してみましょう。
Q3 「障害年金」はどのような障がいが対象になるの?
A3 障害年金は「外部障がい(身体障がい)」、「精神障がい」、「内部障がい」が対象となります。
障がい年金の対象は幅広く、身体の障がいだけでなく、精神障がいや内部障がいも対象となるのがポイントです。
精神障がいの場合は「統合失調症、双極性障害(躁うつ病)、認知障がい、てんかん、知的障害、発達障害」などが該当します。
なお、精神での認定は、「神経症(パニック障害、人格障害、不安神経症、強迫性障害)」は対象外となります。
障がいの認定には等級があり、精神での認定の場合「一~三級、非該当」のいずれかになります。
「障害基礎年金」で受給が可能になるのは、精神で「二級」以上の認定が必要となるため、申請したからといって、必ずしも受給できるとはかぎらない点に注意が必要です。
しかし、申請をしなければ、そもそも障がい年金を受け取れる機会もなくなってしまうため、焦らずにじっくりと準備していくことがおすすめです。
申請までの準備期間は「三ヵ月~半年」程度を見積もっておくとよいでしょう。
申請書類の書き方によっては、障がいの程度が正しく年金事務所側に伝わらず、実際には症状が重い場合にも「三級~非該当」となってしまうケースもあります。
一度、出てしまった判定を覆すには、かなりの労力が必要となりますので、申請は一回きりのものと考えて、万全に準備を整えましょう。
ケースワーカーなど、「障害年金申請」の知識がある第三者にチェックを貰ってから、書類を提出するのがおすすめです。
また「病歴・就労状況等申立書」という申請書類には、障がいが起きた当時の状況から、就労が困難になっている現在までの症状の経過をすべて詳細に書く必要があります。
障がいをお持ちの方にとって、過去の症状の体験を振り返って書き出すことは、大変つらい作業になりますので、少しずつ進めてみましょう。
実際に多くの障がい当事者が、この「病歴・就労状況申立書」を書く際に「気分の落ち込みや疲労感」を経験する、と言われています。
この「病歴・就労状況等申立書」は、「障害年金申請」において、等級を判定する際の最も重要な書類のひとつです。
ポイントとしては、ご自身の「主観的な意見や記憶」で書くのではなく、ご家族や周囲の方といった第三者から障がいがどのように見えているか、「客観的な意見や証言」も踏まえて取り入れる必要があります。
そのため、「病歴・就労状況等申立書」を書く際には、ご家族や周囲の方に、当時の状況を尋ねてみて、どのように日常生活に困難が生じていたか、確かめてみるとよいでしょう。
Q4 障がい年金申請の「初診日」って具体的にどの日を指すの?
A4 「初診日」とは、障がいについて初めて医師から診察を受けた日のことを指します。正確な診断名が付かなくても、症状について病院に相談した最初の日が「初診日」です。
障がい年金の申請において、とくに重要になるのが「初診日」です。理由は3点あって、
① 初診日に加入していた保険によって受け取れる年金(障害基礎年金・障害厚生年金)が決まるから
② 「初診日」から1年6ヵ月が経過した時点から、障がい年金の申請が可能になるから
③ 保険料の納付期間の確認は「初診日」を基準とするから
になります。
障がい年金の申請を行う際に、すべての計算の基準点となるのが「初診日」です。まずはこの日を確定させる必要があります。
実際の申請では「受診状況等証明書」というものがあり、これは初診日を証明するために必要な書類です。
「受診状況等証明書」に関しては、ご自身で記述することはできず、実際に診察を受けた病院にカルテが残っているかどうかを調べてもらい、病院側に「初診日の証明」を依頼しなくてはなりません。
「初診日」となる病院は、対象となる障がいの症状について初めて診察を受けた日で、どの医療機関であってもかまいません。
たとえば、精神障がい(統合失調症)で幻聴の症状があり、耳鼻科へ行ったのちに精神科で診断を受けた場合は、先に診察を受けた「耳鼻科」の病院が「初診日」の対象となります。
あるいは、発達障害で、メンタルクリニックAでは「神経症」と診断されたが、B病院の精神科で「発達障害」と診断が付いた場合、先に受診していた「メンタルクリニックA」が「初診日」の対象となります。
実は「障害年金」の申請を早めに行っておくといい理由があって、「初診日」を証明するためには病院側でカルテなどの記録が残っている必要があります。
医師法でカルテの保存は「5年以内」と定められているため、障がいや疾患の発病から5年以上が経ち、当時の医院に照会を行っても、カルテが残っていないケースや、病院自体が潰れてしまっていることもあります。
当時の「初診日」が証明できなければ、期間をさかのぼって請求すること(遡及請求)が難しくなり、受け取れる年金の総額が変わってしまいます。
なので、病院側でカルテが残っているうちに、申請準備を進めた方がよいでしょう。
Q5 障害年金の申請はいつから行えるの?
A5 障がい年金の申請は「初診日」から1年6ヵ月後の「障害認定日」に障がいの状態が続いていれば、申請することができます。また「障害認定日」に症状が改善し、通院していなかった場合でも、現時点で通院中の方は申請を行えます。
「初診日」から1年6ヵ月後のことを「障害認定日」と言います。
初めて診察を受けてから1年6ヵ月が経過しても障がいが続いている場合は、「障害認定日」となり、この日以降、障がい年金の申請が可能(受給権が発生)になります。
障がい年金の請求方法は、主に
①本来請求(認定日請求)
②遡及請求
③事後重症による請求
の3つがあります。
①本来請求(認定日請求)
「本来請求(認定日請求)」の場合、初診日から1年6ヶ月後の「障害認定日」から1年以内に請求を行います。
障害認定日(以降)から3ヵ月以内に作成された診断書1枚が必要になり、年金の支給開始は「障害認定日」の翌月分から支給されます。
実際のケースでは、「本来請求」による請求は少ないと言われます。
障がいの発病から1年6ヵ月の間に「障害年金」の制度について当事者が認知しているケースが少ないためで、1年6ヵ月の障害認定日に合わせる形で請求が行われるのは稀です。
障がい年金の制度について知るのは、初診日から1年6ヵ月後の「障害認定日」以降になることが多いので、のちにご説明する「②遡及請求」や、「③事後重症請求」を行われる方がほとんどです。
②遡及請求
「遡及請求」では、障害認定日から数年経っている場合に行う請求方法で、受給期間を遡って請求する方法です。
用意する診断書は、申請時点の直近3ヵ月の診断書が1枚、「障害認定日」以降から3ヵ月以内の診断書が1枚、計2枚の診断書が必要になります。
初診日から1年6ヵ月後に通院している病院、現在も通院している病院が同じであれば、2枚分の診断書を通院先に書いてもらうことで申請が行えます。
初診の病院と1年6ヵ月後に通っていた病院、現在の通院先の病院が異なる場合は、まず「初診日」を確定するため、「受診状況等証明書」を初診の病院に依頼しましょう。
つぎに1年6ヵ月後の「障害認定日」に通っていた病院に当時の診断書が出せるかどうかを確認して、「診断書」を1枚発行して送付してもらいます。
最後に現在の通院先に「診断書」を書いてもらうことで、「受診状況等証明書(初診日の証明書類)」と「障害認定日(以降)から3ヵ月以内の診断書」「申請時点から3ヵ月以内の診断書」を揃えることができます。
ただし、当時のカルテが残っていなかったり、診断書を出せないと言われた場合には、書類が揃わずに「遡及請求」が難しくなるので、「③事後重症による請求」を行います。
③事後重症による請求
「事後重症による請求」の場合、初診日から1年6ヵ月の「障害認定日」の時点では症状が改善し、通院していなかったが、その後に症状が悪化して通院することになった場合に請求する方法です。
また、何らかの理由で「障害認定日」から3ヵ月以内のカルテが病院に残っておらず、当時の診断書を出すことができない方は「事後重症による請求」を行うことになります。
初診日から1年6ヵ月後の「障害認定日」に通院していた病院でカルテが破棄されていたり、病院が廃院になっていたり、担当の医師が退職済みで診断書が出せないケースです。
この場合は、「遡及請求」ではなく、「事後重症による請求」に切り替えます。
「事後重症による請求」の場合は、現在の通院先から診断書を1枚貰うことで、請求が可能です。
事後重症請求による障がい年金の支給は、請求した日の翌月から支給されるので、なるべく早めに動いて請求することをおすすめします。
たとえば、「事後重症による請求」で障がい年金の申請を遅らせたとすると、遅らせた月の分だけ年金が受け取れなくなるので、注意が必要です。
また「事後重症による請求」は、65歳の誕生日の2日前までに手続きを行う必要があり、65歳の年齢を迎える前に早めに手続きをしておきましょう。
Q6 毎月の国民年金保険料はどうなるの?
A6 障害基礎年金2級以上での認定の場合、国民年金保険料は法定免除となります。免除の場合、老齢年金で受け取れる額が少なくなるため、追納するかどうかを選択します。
障害基礎年金の等級が2級以上で認定される場合、毎月の国民年金保険料は「法定免除」となるため、認定された月の前月分から全額免除となります。
しかし、納付分を免除されることによって、老齢年金の受け取り額が減ってしまうため、老齢年金を満額で受け取りたい方は「追納」を行うようにしましょう。
「追納」を行わない場合は、障がい年金を受給し続けるという選択をするか、老後の生活に備えてご自身で貯蓄をする必要があります。
65歳の時点で「老齢基礎年金」か「障害基礎年金」のどちらかを選択して受給することになるので、覚えておきましょう。
なお、障がい年金は障がいの症状が改善した場合には支給打ち切りとなるリスクがありますので、ご注意ください。
「障害基礎年金」を受け取り、全額免除の選択をした場合でも、なるべく障害基礎年金には手を付けずに、貯蓄に回していくことをおすすめします。
Q7 国民年金保険料の未納期間があるけれど、障がい年金の申請は可能?
A7 「初診日」の前々月までの、3分の2以上の期間で国民年金の納付が行われていれば、申請が可能になります。
障がい年金は「国民年金」制度の一部なので、きちんと納付した期間がなければ、その保障を受け取ることができない仕組みになっています。
ただし、障がい年金申請では「初診日の前々月までの期間」で保険料が未納かどうかを確認するため、この期間までにきちんと保険料を納めていたかがポイントになります。
毎月の国民年金の支払いが高額で払うことが難しい場合でも、免除や猶予の手続きを行っておくことで、納付した期間と同じようにカウントされます。
月々の国民年金保険料を満額で支払えない場合でも、必ず役所に相談して免除・猶予手続きを行いましょう。
Q8 障害年金ってどのくらいの額を受け取ることができるの?
A6「障害基礎年金二級」の場合、年額で「79万5千円(令和5年)」、月額で「6万6250円(令和5年)」になります。
仮に「就労A型・B型(作業所)」や「就労移行支援施設」に通われている方で、精神障がいがある場合、多くの方が「障害基礎年金二級」での受給を目指すことになるかと思います。
就労A型での収入は「4万5千~9万円(目安額)」となっており、実家で生活する分には可能な額でも、一人暮らしなどは難しい収入になります。
障がいの程度によっては、A型作業所の通所日数や、障がい者雇用での勤務が安定しづらく、収入が不安定になる方も少なくありません。
体調に関わらず、安心した暮らしを送るために、こうした年金制度を積極的に活用するのもひとつの方法です。
また障がいの原因が、家庭での生育環境にある場合は、ご家族と同居し続けることで、症状が悪化していくケースもあります。
当事業所では「在宅ワーク」をご利用者の方の作業として割り振っておりますが、ご実家での作業環境では集中しづらいという方も、なかにはいらっしゃいます。
こうしたときに、「就労A型」や「障がい者雇用」の収入のみだと、家から出る手段がなくなってしまい、適切な作業環境が確保できなかったり、自立へのステップを踏み出せなくなります。
そのため、いつでも親元を離れ、地域の障がい者グループホームなどで安心した暮らしが送れるように、障害年金の申請を進めることをおすすめします。
障がいがあっても、安心した暮らしを送るための「障害年金」
今回は「障がい年金申請」でよく悩まれがちな疑問をQ&A形式でお伝えしました。
障がい年金申請がまだお済みでない方は、よかったらこの機会に準備をはじめてみてください。
当事業所が運営する障がい者グループホーム「レフィナ関目・森小路」は、2024年6月頃を目処にオープンする予定となっております。
障がい者グループホームを利用される方の多くは「障害年金」などの公的な補助を受給されている方がほとんどです。
そのため、「レフィナ関目・森小路」への入居をご検討中の方には、障害年金の申請も併せておすすめしております。
グループホーム「レフィナ」の1ヵ月の利用料金は「48500円(賃料・夕食代・光熱費・日用品費含む)」で、「障害基礎年金二級」の月額支給の範囲内に収まります。
個人分の出費(モバイルWi-Fi利用料、携帯代、朝食代、医療費、交通費等含む)は1ヵ月あたり「40500」円程度(目安)となると予想されます。
実際の1ヵ月のトータルでの生活費は「89000」円前後となるでしょう。
就労A型「リリーフ」と併用する場合、リリーフでの収入は「45000~90000円程度(月額)」です。
これに加えて「障害基礎年金二級(月額6万6250円:令和5年度)」が受給できれば、グループホームで貯蓄をしながら安心した暮らしを送ることができます。
大阪市内で、「在宅ワーク」に特化した障がい者グループホームをお探しの場合、「レフィナ森小路・関目」は一番におすすめできるグループホームです。
グループホーム「レフィナ森小路・関目」への入居のご相談や、資料請求は下記のお問合せフォームより、ご連絡くださいませ。
森小路・関目の障がい者グループホーム
「レフィナ」に関するご相談窓口
080-7285-7658
(担当者直通・竹内)